2024-10-10

中小企業やクリニック・動物病院が今とるべき防災対策

こんにちは。今年は、何年かぶりに防災リュックの点検をした社労士の二上です。東大阪市で大阪・奈良・京都・兵庫の中小企業様およびクリニック・動物病院様向けに労務サービスを提供しています。

 

本日は、経営者様、特に中小企業やクリニック・動物病院の経営者様に知っていただきたい防災対策を取り上げます。

 

今年は、能登半島地震に始まり、異常気象、南海トラフ地震臨時情報、迷走巨大台風、そして再び能登地方に被害をもたらした豪雨災害など、自然災害がもたらす人的被害や経済のリスクが年々高まってきていることを思い知らされる年です。経営者様・院長先生方におかれましてはすでに様々な災害対策をされているかもしれませんが、この機会にもう一度、従業員様やお客様の命を守る対策をご検討されるともに、災害時の労働に関わる知識を知っていただけたらと思います。

 

 

 

 

経営者様にとっての防災意識の大切さ

 

東日本大震災では、甚大な被害が出ました。午後の14:46に発生したため、企業も病院も学校も施設も、勤務中・稼働中真っ只中でした。この中で、多くの判例が出ていることをご存じでしょうか?「失われた命は、備えていなかったがための企業や教育機関の責任ではないのか?」という事が争われたケースがいくつもあります。

 

その中で、同じ尊い命が奪われていたとしても、企業や病院や教育機関側が「備えていたかどうか」で損害賠償額が大きく変わったという現実がありました。

 

BCPという言葉が一般化してきたのはここ数年なのではないでしょうか。BCPとは「事業継続計画」、Business Continuity Planの略です。災害による影響を最小限に抑えつつ、自社・自院の業務をいち早く復旧させ、損害を最小限にするためものです。

 

これは中小企業やクリニック・動物病院の経営者様・院長先生にとっても他人事ではありません。

 

 

 

災害は、発生時対応と同じくらい「事前」対策が問われる

 

ご存じのように、労働契約法第5条では、「安全配慮義務」が定められており、従業員の生命の安全を確保しながら労働できるよう配慮することが求められています。これには、2つの要素が含まれています。

  • 結果予見可能性:事業側が結果を予見できた可能性があったか?
  • 結果回避可能性:事業側が結果を回避できた可能性があったか?

 

ここから分かる通り、予見できたようなことであれば、事前に準備をしたり計画をしておかなければ、後々になって責任を問われる可能性がある、ということです。

 

そこで、どのような事に備えておくべきか、をここから見ていきましょう。

 

 

 

基本的な災害対策

 

普段から行っておくべき基本的な対策の流れとしては以下のようになります。

  1. 人命最優先とする方針を策定
  2. 該当する地域や事業種に沿ったリスク分析
  3. 方針とリスク分析に沿った行動計画と役割定義
  4. 上記に基づいた研修や避難訓練の実施
  5. 防災備蓄品の管理
  6. 定期的な見直しと防災備蓄品の点検

 

なお、上記の中で忘れてはいけないのが、二次被害の防止です。地震後の津波、災害後の火事、水害後のがけ崩れなどが二次被害にあたります。津波やがけ崩れは避難経路を確認し、マニュアルを作るとともに定期的に従業員全員で確認しておきましょう。また火事などを防止するために、電化製品やガス製品は電源を切っておきましょう。

 

行動計画には、避難経路の確認、緊急時の連絡体制の整備、さらにはテレワークや在宅勤務制度の導入も防災の一環として考えられます。

 

大切なこととして、従業員に対する定期的な防災教育です。初期消火や応急手当の訓練、避難経路の確認など、実際の災害発生時に適切に行動できるような訓練を通じて、従業員の安全を守るための準備を整えておくことが大切です。

 

 

医療機関における災害対策

クリニック等の医療機関は、一般企業と異なり特殊な位置づけとなります。患者さんが自力で避難できる人ばかりとは限りません。動物病院の場合はペットも一緒に避難したい方ばかりでしょう。また自院が被災しながらも被災者の受け入れも行う必要があるかもしれません。

 

医療機関の災害対策については、東京都保健医療局に詳しく載っていますのでご参照ください。

医療機関における事業継続計画(BCP)の策定について 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)

 

 

災害時の労働時間と賃金

次に、経営者の皆様が気になる、労働時間と賃金についてみていきます。

 

災害が発生した際、従業員が出勤できない場合や企業が営業を停止する場合、労働時間や賃金の取り扱いが問題になります。労働基準法では、使用者の責任によって仕事ができない場合には休業手当(平均賃金の60%以上)を支払う義務がありますが、災害により不可抗力で休業がやむを得ない場合は賃金の支払いは不要です。事前に災害時の対応を従業員と共有し、混乱を避けるようにしておくことが重要です。

 

 

災害発生後のメンタルヘルスケア

災害後、従業員は心身に大きな負担を抱えることが少なくありません。企業は従業員のメンタルヘルスに対しても適切なケアを行うことが求められます。ストレスチェック制度の活用や、産業医との連携を強化し、従業員が安心して職場に戻れるようサポート体制を整備しましょう。

 

 

テレワークの有効活用

災害時には、交通機関の停止や避難指示が出ることもあります。そうした状況でも業務を継続できるように、テレワークを導入しておくことは効果的です。労務管理の観点からも、テレワークに関するルールを明確に定めておくことが重要です。たとえば、労働時間の管理方法や通信費の負担について事前に取り決めておくことで、災害時の混乱を避けることができます。

 

ここまで、災害時の事前対策の重要性と、災害発生時の賃金や対策を見てきました。災害を含むリスク対応に関して、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

 

雇用契約や労務手続き、働きやすい労働環境づくり、等は当事務所でもサポートできます。当事務所では、労働時間に関するご相談、採用前・採用後のアドバイス、雇用契約書の作成をはじめ、中小企業様やクリニック・動物病院様からの人事労務に関するご相談を承っております。女性社労士がサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

 

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