給料を上げるだけでは人が来ない時代に──日本政策金融公庫の調査から見える、中小企業の採用・定着へのヒント
「求人を出しても応募が来ない。」「採用できても、すぐ辞めてしまう。」
このような声を、中小企業の経営者の方から耳にする機会が増えています。
実際、日本政策金融公庫が2026年6月に公表した「中小企業における従業員の採用・定着に関する調査」でも、人材確保の難しさが改めて数字として示されました。
目次
中小企業における従業員の採用・定着に関する調査から見えてきたこと
日本政策金融公庫の調査実施は2026年3月で、有効回答数は4,123社でした。うち従業員規模が49人の企業が2,659社でした。
調査結果では、
- 新卒採用では約4割の企業が予定人数を確保できず
- 中途採用でも約3割の企業が採用目標に届いていない
という結果でした。
人材不足は一時的なものではなく、多くの中小企業が直面する経営課題となっています。
多くの企業が取り組むのは「待遇改善」
また、人材募集のために企業が取り組んでいることとして、
- 初任給の引き上げ
- 未経験者・無資格者の積極採用
- 自社ホームページでの情報発信
などが挙げられています。

また、定着施策では、
- 基本給や賞与の引き上げ
- 休日の増加
- 労働時間の削減
といった取組みが上位となりました。

働く人にとって、給与や休日が重要であることは言うまでもありません。しかし、今では多くの企業が同じような改善を進めています。つまり、「待遇を改善すれば採用できる」という時代ではなくなりつつあると言えるのかもしれません。
中小企業だからこそ、考えたいこと
中小企業、特に50人以下の企業様では、大企業と同じように給与や福利厚生で競争することは簡単ではありません。
一方で、会社の規模が小さいからこその強みもあります。
例えば、
- 社長や上司との距離が近い
- 一人ひとりの仕事の幅が広く、成長を実感しやすい
- 制度や働き方を柔軟に見直しやすい
- 特徴のある変革を実践しやすい
- 社員一人ひとりの声が届きやすい
こうした魅力は、大企業には真似しにくいものです。
また、50人以下の企業様では、一人採用できるかどうか、一人辞めるかどうかが会社全体に与える影響は決して小さくありません。
だからこそ、「採用すること」だけではなく、「辞めない職場をつくること」が、より重要になります。
「制度がないこと」が採用の壁になることも
当事務所が50人以下の企業様をご支援する中で感じるのは、採用が難しい会社ほど「制度や労務が整っていない」ケースが少なくないということです。
例えば、
- 入社後の教育方法が担当者任せになっている
- 評価基準が曖昧で、何を期待されているのか分からない
- 定期的な面談やフォローの機会がない
- 労働時間や契約内容が、会社の都合で変わってしまう
こうした状況では、せっかく入社した社員も不安を感じやすく、早期離職につながることがあります。
もちろん、立派な人事制度を一度に整える必要はありません。
小規模企業だからこそ、自社に合ったシンプルな仕組みを少しずつ作っていくことが、結果として採用力・定着率の向上につながります。
人材不足が続く今こそ、自社の強みを見つめ直し、「この会社で働き続けたい」と思ってもらえる職場づくりが、将来の安定した経営につながっていきます。
当事務所でも、就業規則や労務管理はもちろん、安心して働ける職場づくりをご支援しております。
また給与や休日の改善のご相談や労働契約の作成も可能です。
当事務所では、中小企業様やクリニック・動物病院様に向けた従業員の雇用や人事労務に関するご相談など、女性社労士がご相談承ります。その他、中小企業様、クリニック・動物病院様のニーズに合わせた研修なども実施しております。お気軽にお問い合わせください。
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