2022-10-30

【中小企業のテレワーク導入】労務管理のポイントなどを社労士がお答えします

こんにちは、大阪、奈良、京都、兵庫エリアの女性社労士、二上です。中小企業様およびクリニック、動物病院様向けの社労士業務を行っています。

 

11月は「テレワーク月間」というのをご存じでしょうか。総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省と産業界、学識者などが主唱となって実施しているテレワーク普及促進の取組みです。2015年から実施されています。

 

テレワークやリモートワークは、このように10年ほど前から推進は進められており、さらに、働き方改革やコロナウィルス感染症拡大をきっかけとして一気に導入が進みました。テレワークをしている人が珍しくなくなってきましたね。

 

 

テレワーク導入と働き方や労務管理の変化

総務省が行った調査(令和3年)によると、すでに5割を超える企業がテレワークを導入しています。その一方で、中小企業を対象としたデータ(デル・テクノロジーズ、令和3年)を見ると、テレワークを実施している中小企業は26.8%にとどまっています。

 

この、テレワークを導入した中小企業26.8%のうち、半数以上はテレワーク導入に満足しているようで、「不満・やや不満」と回答しているのはわずか1割程度となっています。導入して1、2年ほどでのこのような結果ですので、中小企業にとってもテレワーク/リモートワークを導入する大きなデメリットはなさそうです。

 

テレワーク/リモートワークの導入にあたっては、従業員の働き方が変わるため、就業規則の変更が必要になります。そのため、社労士が中小企業のテレワーク導入のサポート・労務管理についてのアドバイスをすることが多くなってきています。

 

今回は、テレワーク/リモートワークを導入したいとお考えの中小企業の経営者の方に、そのメリット・効果と、中小企業の方が悩まれる、労務管理・労働時間管理のポイントをご紹介いたします。

 

 

中小企業にとってのテレワーク/リモートワーク導入のメリット

 

テレワークを導入することでのメリットは様々ありますが、特徴的なことは、会社だけでなく従業員にとってのメリットも大きいことと言えます。

 

従業員へのメリット:

  • 通勤時間の短縮や通勤に伴う精神的・身体的負担の軽減
  • フレキシブルな働き方による業務効率化や時間外労働の削減
  • 育児や介護と仕事の両立がしやすくなる
  • ワークライフバランスを向上させることができる

 

中小企業にとってのメリット:

  • 業務効率化による生産性の向上
  • 育児・介護等を理由とした従業員の離職を防止
  • 遠隔地の人材の確保が可能
  • 非常時(自然災害や感染症拡大など)の事業の継続
  • オフィスコストや交通費の削減

など

 

従業員へのメリットが大きいことで、従業員の仕事への満足度が上がり、従業員の定着にもつながります。また、モチベーションも上がるため、結果的に会社へのメリットも大きくなると言えます。

 

中小企業にはテレワーク/リモートワークは難しい!?

メリットはあるものの、多くの中小企業にとっては「ハードルが高い」と感じられ、なかなか導入に至れていない会社も多いのも事実です。

東京商工会議所が実施した中小企業を対象とした調査によると、中小企業での「テレワーク実施を検討するにあたっての課題」は、以下の3つが大きな要因であることがわかります。

(※「テレワーク可能な業務がない」という回答は除く)

 

1.社内体制が整っていない(仕事の管理・労務管理/労働時間管理・評価など)

2.IT機器やネットワーク環境の整備が十分でない

3.セキュリティ上の不安

 

社労士として、中小企業の経営者の方々のテレワーク/リモートワーク導入についてご相談をお伺いする中でも、トップにあがっている、労務管理や労働時間管理については多くの方がお悩みになっていると実感しています。

 

中小企業のテレワーク/リモートワーク導入のポイント4つ

中小企業でのテレワーク/リモートワークの導入にあたり、多くの方がお悩みの「社内の体制を整える」についてのポイントをご紹介いたします。

 

  1. テレワークにあたってのルールの策定
    テレワークを実施するにあたっては、先ずはルール作りが必要となります。勤務場所、勤務時間や始業・終業の連絡など、明確なルールを策定しましょう。社労士がこういったルール策定について相談に乗ることもできます。策定したテレワークのルールについては、「テレワーク勤務に関する規程」、また、情報セキュリティに関するルールもテレワーク実施にあたりしっかりと定めておきましょう。

 

  1. 労働時間の管理
    テレワーク実施する際にも、オフィスでの勤務と同様に労働基準法に従った労働時間の管理が必要になります。(「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置」)テレワークは柔軟に働けるメリットがある一方で、労働時間の管理が難しいとも言われます。その対策として、
    • フレックスタイム制
    • 事業場外みなし労働時間制
    • 裁量労働制

 のような、労働時間制度を職務にあわせて導入することも可能です。

 

  1. 従業員への教育
    テレワークでの仕事において、職務の遂行や能力開発などにおいて従業員が不安に感じることの無いよう教育や研修の実施をすることが大切です。また、テレワークにおいての情報セキュリティやメンタルヘルス研修などの実施も、オフィスでの仕事をする場合と同様に重要です。

 

  1. テレワークを効果的に継続させる工夫
    最後に、テレワークを一時的に終わらせないため、また会社と従業員どちらにとっても有効なものにするために、工夫をすることが大切と考えます。テレワークの実施に当たっては、コミュニケーション、従業員のメンタルヘルス、長時間労働、などが課題視されることもあります。こういった課題に対し、どうすれば会社・従業員にとって効果的にできるか考え実施していくことは、継続的な良い会社づくりのポイントにもなるでしょう。

 

中小企業でのテレワーク/リモートワークの導入は、労務管理や労働時間の管理、そして費用面など、様々なお悩みがあると思います。当事務所でも、そのようなお悩みをお持ちの中小企業の経営者の方に、それぞれの事業場にあった導入のポイント、効果的な労務管理のポイント、そして申請可能な助成金、などのご案内をしております。

 

当事務所社労士は、特定社会保険労務士資格も保有しています。特定社会保険労務士は、個別労働紛争での代理人としての業務が認められた社労士のことで、多くの労働問題にも精通しており、労働・社会保険などの手続き以外にも、労使問題に関わる様々なご相談にも応じています。

 

新型コロナ感染症拡大の心配も一時期に比べ落ち着いたこともあり、とりあえず今はテレワークの導入は不要…と思われている経営者の方もおられるかと思います。一方で、今後ますます労働者の働き方についての対応が求められるようになることが想定されます。また、今後起こりうる非常時(感染症や自然災害など)に向けての対応も重要です。少し落ち着いた今だからこそ、検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

中小企業のリモートワークの導入に関するご相談、労務管理、社会保険手続き、その他従業員の雇用に関するお悩み・ご相談など、お気軽にお問合せください。

 

当事務所は大阪に拠点をおき、関西圏(京都・兵庫・奈良)を中心に中小企業の経営者さま、クリニックや動物病院の院長先生、スタートアップやベンチャーの支援を行っております。

 

労務環境・職場環境チェックに関するご相談以外にも、従業員・スタッフの雇用にあたってのご相談、社会保険の手続きに関するご相談、その他助成金のご案内など、人事・労務に関する様々なご相談を承っております。

 

実績ある女性社労士として、お客様目線で親身になる事、経営者と従業員の皆さまがともに成長できることをモットーにアドバイスさせていただいております。

 

 

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