2021-08-05

給与を見直すなら「給与計算」 

本業に専念したい中小企業・クリニック・起業家のための給与計算のポイント


経営者のみなさまにとって、「給与計算」とはどういうものでしょうか?

  • 「ルーティンワークだけど、手の取られる業務」
  • 「税金・社会保険や残業代の計算がややこしい…」
  • 「法律上、間違いがないか心配」など、
    負担や悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

一方で従業員にとっては「お給料日♪」と心躍るもの。頑張った仕事への「ありがたみ」や「やりがい」を感じるものでもありますよね。そんな「給与計算」、従業員には負担を見せずスマートにしたいですよね。何よりも、中小企業やクリニックの経営者の方、起業家の方にとっては本業に専念するためにも、負担を減らしたいと思うのが本音ではないでしょうか。

 

本コラムでは、「給与計算」の作業を
「少しでも軽減したい!」
「不安や心配を解消したい!」とお考えの
中小企業・クリニックの経営者や起業家の方々のために、

  • 給与計算業務で必ずおさえておきたいポイントと、
  • 給与計算業務の負担を減らす方法をご紹介します。

ぜひ、あなたの会社に合った方法を見つける参考にしていただければと思います。

 

おさえておくべき「給与計算」の2つのポイント


「給与計算」を「ただの計算」と思って挑むと、実際やってみて「なかなか面倒だなぁ…」と思った方は多いのではないでしょうか。思った以上に、細かいルールや知識が必要だったり。まだ経験の浅い経営者であれば「これであっているのかな…」と不安になることもあるのではないでしょうか。

 

「給与計算」には絶対に押さえておくべき2つのポイントがあります。まずはこの2つを見ていき、正しい「給与計算」が何かを確認してみましょう。

企業における給与計算の2つのポイント

1. 法律や就業規則の賃金規程などのルールに従って、従業員へ支払う給与の金額を計算する


給与の支払いに関しては法律で定められたルールがあります。それに従っていることが大前提です。

 

例えば「労働基準法第24条」には、賃金を支払う上でのルール(『賃金支払いの5原則』)が定められています。その他にも決められている法律・ルールに従って、正しく給与計算を行う必要があります。

また、会社と従業員との間には正社員だけではなく、アルバイト・パートや契約社員、嘱託社員などさまざまな雇用形態の従業員がいるケースがあるので、雇用形態それぞれのルールに応じて、異なる計算処理が必要になります。


2. 国や都道府県、市区町村、年金事務所に納付するための税金、保険料の金額を計算する


給与計算の際に重要となるのが、この税金・保険料の金額計算です。

会社は従業員一人ひとりが負担すべき税金や社会保険料を算出し、給与支給額から控除した上でまとめて納付する義務があります。

国に対しては所得税、都道府県・市区町村へは住民税、年金事務所には社会保険料といったように、それぞれを適切なところに納付する必要があります。

この算出で注意が必要なことは、個々の従業員の扶養家族の増減によって所得税が変動したり、給与支給額の変動によって社会保険料が変更になったりすることです。

また、法改正に応じて処理方法も変更が必要になるため、毎年法の改正を確認し、給与計算に反映する必要があります。

関連コラム:労働保険・社会保険手続き

 

この上記2つのポイントを押さえた上で、正しく給与計算しないと、

給与計算ミス →納付金額のミス →滞納や脱税

なんていう結果になりかねません。

たかが「計算ミス」、されど「計算ミス」。

給与計算をきちんと行うことが、会社にとって重要であることをしっかり押さえておきましょう。

 

給与計算のミスによるリスク:重大なリスク3つ


給与計算を正しく行うことが重要、そしてミスは大敵であることが分かったものの、人がする作業、どうしてもミスは避けられませんよね。

特に、給与計算が厄介なのは、従業員一人ひとりの勤務形態や労働時間、固定給の変更、扶養家族の変更、各種保険料の見直し、など変更が起こると、給与計算にも都度変更対応が必要となることです。

単純な計算作業としてルーティン化していると、どうしてもうっかりミスをしてしまいがちです。「うっかりミス」だけで終われば問題ないのですが、事によっては大きな問題へと発展することもあります。 具体的に見てみましょう。

経営者
経営者
「うっかりミス」のリスク、どのようなものがあるのでしょうか?
給与計算ミスの三大リスクを見てみましょう。
社労士クレイン
社労士クレイン

  1. 会社の信用がなくなる・社員から訴訟されるなどの労務リスクの可能性がある
    会社から従業員へ対する報酬に誤りがあると、会社に対する不信感につながります。
    この不信感は、会社を辞めた後にネットなどで誹謗中傷を受ける一つの原因になることもあります。

    その他、残業代未払いで、状況次第では訴訟に発展する場合もありますので注意が必要です。
    些細な計算ミスでも、大切な従業員の信用を失うことになります。

  2. 正しく納税されない
    給与計算のミスが与える影響は、社員の報酬だけに限りません。計算が誤っているということは、社会保険料のほか、源泉徴収税のような税金控除にもミスが発生している可能性があります。源泉徴収税が誤っているということは、給与支払い翌月の納税額にもミスがあるということです。

    納税は国民の義務ですから、納税額が誤っているということは、大きなリスクになります。労務リスク同様に会社の信頼に関わるような問題になる可能性もあります。

  3. 月の業務への支障が出る
    ミスが発生すると、速やかに給与明細の修正や過不足の調整などの対応が必要になります。
    不足時は労働基準法第24条)に基づき当月に支払う必要があり早急に対応が必要です。翌月の給与で不足分を調整する場合は、必ず従業員の同意を得えるようにしましょう。

    過払いに関しては、労使協定などで翌月調整の同意をしている場合は問題ありませんが、従業員の同意なしには、翌月分から過払い分を差し引いてはいけませんですので、過払いで翌月処理するとしても、早急に従業員への対応が必要になります。
    法律にかかわらず、従業員との関係を悪くしないためにも、支払いミスがあった時は、速やかに謝罪・誠意的な対応を心掛けることが大切です。

    給与計算・支払いのミスが出た際は、他の業務を後回しにしてでも、至急対応することが必要になります。
    経営者
    経営者
    なるほど!「うっかり計算ミス」と簡単に考えていると、ミスによって損害を受けた社員に影響があるだけでなく、会社自体にも影響を与えることになるのですね。
    そうですね。
    とはいえ、裏を返せば、給与計算まわりの対策をしっかり行うことは、以下のように会社へのメリットに転換することもできます。
    社労士クレイン
    社労士クレイン
  • 従業員が経営者を信頼し、安心して働けることで会社を一緒に盛り上げてくれる
  • 正しく納税ができ、後から追徴課税ということもなくなり、財務的に安心して経営ができる
  • ミス修正や出戻りといった非効率な業務が減り、本業に専念できる

会社の発展のためにも、それぞれの会社に合った対策が必要です。

 

給与計算の業務負担やミスを減らすために:解決の方法3つ

 

どうすれば業務負担やミスが減らし、もっと本業に専念することができるのでしょうか。方法として挙げられるのが以下の3つです。

  1. 社内に給与計算の専任スタッフとダブルチェックを行うスタッフを置く
  2. 給与計算ソフトを導入する
  3. 給与計算のアウトソーシング(業務代行、コンサルティング)に依頼する

上記の1)に関しては、人員の確保が必要になり、中小企業や小規模な会社にとっては難しいのが現実ではないでしょうか。月1度の「給与計算」業務のための適任のスタッフを雇う、もしくは教育するというのはなかなかハードルが高いこと。

 

またその専任が1人の場合は、もしもの緊急事態に他の知識のある誰かをバックアップとして置く、なんてことまで考えると、現実的ではありません。

 

では、その他の2)ソフト導入と3)アウトソーシング、中小企業や起業家の方にはどちらが効果的な方法でしょうか。次で見ていきましょう。

 

中小企業のための給与計算の負担を減らす方法:手軽に始められる!「給与計算ソフト」


CMや広告でもおなじみの給与計算ソフト。
人事労務freee
マネーフォーワードクラウド給与
給与奉行クラウド など
数えきれない数ほどの給与計算ソフトが存在します。

 

特に最近は劇的に増えましたが、いったいなぜでしょうか。

 

一つの理由は、働き方の多様化があるといえるでしょう。副業・リモートワークが推進され、雇用形態の多様化も進んできました。勤務形態・雇用形態が増えることで給与計算も複雑になり負担が増え、多くの企業で「なんとか負担を減らしたい!」と需要が高まりました。

 

そしてもう一つの理由としては、給与ソフトの利便性と導入のしやすさです。これまではインストール型(PCにインストールしローカルで作業するタイプ)が主流でしたが、最近は導入のしやすさと使いやすさを売りにしたクラウド型(クラウドにデータベースがあり、ネット環境があればどこでも処理可能)が圧倒的に増えました。

 

では、今主流のクラウド型の給与計算ソフトのメリットとデメリットは何でしょうか?以下に見てみましょう。

メリット

  • 導入コストが安い(導入しやすい)
  • 誰でも簡単操作
  • いつでもどこからでも作業ができる(ネット環境があれば)
  • 必要とされる従業員の情報・設定をあらかじめすれば計算は自動化
  • 勤怠管理から給与計算、給与明細の作成まで一括にデータ管理が可能
  • 給与計算のために勤怠情報を取り込む作業が不要
  • 給与明細の作成・配布業務が不要

 

デメリット

  • 「安い」と思って導入すると、使い勝手を追及すると追加機能のコストがかかる
  • 誰でも簡単操作できる「みんな仕様」になっているため、自社のニーズとマッチしない(不足分は別途カバーする作業が発生)
  • 従業員情報など重要な情報は、人が入力するので、人為的な入力ミスは回避できない(社内の管理・チェックは必要)
  • サポートサービスが不十分(電話してもがつながらない、など)
  • 不具合などで一定時間操作ができなくなる
  • データ流出のリスク

計算ソフトの大きな特徴は、「使いやすさ」「導入しやすさ」などの初心者へ向けてのメリットを売りにしていることです。費用負担も少なく、誰にでも使えるとあれば、「ぜひ導入しよう!」と思いたくなりますが、給与計算の知識がない人がただ「使いやすいから」で導入すると、「結局無駄な導入だった…」なんてことにもなり兼ねません。

 

そのようなことが起こらないために、次にご紹介する3つのポイントに注意して給与計算ソフトを導入を検討することをお勧めします。

 

最も大切なのは、自社に合ったシステムを選ぶということです。運用コスト、会社の規模、勤務スタイルなどは企業によってさまざまです。

 

中小企業が失敗しない給与計算ソフト選びの3つのポイント!

 

では、計算ソフトの導入する際の大切なポイントを見てみましょう。

  1. ソフトの機能の使いやすさは「自社にあったものか」
    どこの給料計算ソフトも「使いやすさ」をうたっているものばかりですが、「使いやすさ」はそれぞれの人・会社によって違います。中小企業やクリニックなど小さな規模になるとまた個々の会社によってオペレーションもそれぞれ異なります。

  2. サポートサービスがしっかりしているか
    どれだけ「簡単」に使えたとしても、使用する中で「あれ?どう使うの??」なんてことは必ず起きます。そんな時に、すぐに相談に乗ってくれる人・サービスが整っているかはとても重要です。また、「給与計算」には、社会保険や税金などの知識が必要ですので、知識のあるスタッフが対応しているかも大変重要です。

  3. 「デメリット」に注目する
    導入を検討するときに併せて注目してほしいのが「デメリット」です。
    『メリット」に、あなたの会社の問題を解決してくれるかはもちろん重要なポイントですが、
    「デメリット」にあなたの会社が必要とすることが隠れていないかを注意して検討してください。
    「メリット」には使用するターゲット(=給与計算を必要な人・会社)が一緒である限り、基本的には同じ・似たような特徴が並びます。しかし「デメリット」には隠れた特徴が現れます。


    手軽に始められるのは最大のメリットですが、中小企業や起業家にとっては、「導入したけど使えない」というのが一番のロスです。(一度導入したものは簡単にやめるのは難しいでしょうし、、)検討した時間とコストが無駄にならないためにも『必要とされる業務が正しく機能するソフトであるか』を見極めて導入することが重要です。

 

ソフトを導入検討したいけど「なにが自社に合うものか分からない」、導入はしたけれど「従業員の給与の見直しの時どうすればいいかわからない」「法的にミスがなくできているか心配」とお悩みの中小企業の経営者の方は、次の「アウトソーシング」も参考にしてみてください。


中小企業のための給与計算の負担を減らす方法:プロに任せたい! なら、「アウトソーシング(業務代行・コンサルティング)


煩わしい給与計算を「プロに任せた
い!」と思われている中小企業の経営者・起業家の方々に、ぜひ検討いただきたいのがこの「アウトソーシング」。
給与計算や労務の法律のプロに業務を委託・相談し、経営者の負担や悩みを解消してくれる方法です。

 

中小企業で発生する給与計算ミスの多くは、専門スタッフではない人が、片手間に給与計算を行っている事が原因です。その上に、労働社会保険関係法令が年々変わり、複雑化して行く一方です。

そんな中、少しでも給与計算業務の負担を減らし、本業に専念したいという経営者・起業家の方は少なくないのではないでしょうか。

 

「給与計算のアウトソーシング」については、大きく2つのタイプがあります。
ぜひこの2つを知った上で、どちらに「お任せするか」を検討してください。

1. 給与計算業務のみの代行を専門的に行う代行業者

この場合の多くは、給与計算に必要となる社会保険など、統括的な知識がない可能性があります。コストが比較的安い傾向ですが、その反面、広い知識を持つ専門家が少ない可能性があるので、選ぶ際には注意が必要です。

2. 社会保険労務士が在中する事務所
(給与計算だけでなく、保険など統括的な知識・アドバイスができる)

社会保険労務士(社労士)とは、労働・社会保険のプロとして国家資格を有している専門家。そのため、「給与計算」だけでなく、給与計算に関わってくる雇用保険・社会保険や労働法など、幅広い知識を持っています。

「法律上、問題がないか?」「社会保険や税金の計算に誤りがないか?」などの相談だけでなく、給与体系の見直しやシフトの変更に関しての相談など、幅広くサポートしてもらいたいとお考えの中小企業の経営者の方々には、とても有効的な方法です。
【関連コラム:労働保険・社会保険手続き】

 


中小企業のための失敗しないアウトソーシング選びの3つのポイント!

 

それでは、アウトソーシングを活用して負担を軽減して本業に専念したい、中小企業の経営者・起業家の方のために、選ぶ際のポイント3つをご紹介します。

  1. 社会保険と給与計算を併せて代行出来るか
    社会保険と給与計算を併せて代行することができるのは、社会保険労務士だけ。
    「社会保険代行」をうたっている事務所は、国から認められた社会保険労務士がいるということになります。そのため、「給与計算」だけでなく、統括的な目線でアドバイスがもらえるのが最大のメリットです。

  2. 会社側の立場に立って親身になって対応してくれるか
    「必要とすること」はそれぞれの会社の形態によって違います。特に中小企業など小規模の会社の場合、その企業にあった給与計算の方法があります。給与計算の代行業者によっては、マニュアル化されたプランのみを提供するところも多く存在しています。会社の要望に細かく対応し、会社側の立場に立った対応をしてくれる会社を選ぶことが重要です。

  3. 料金設定は適切か
    料金設定がやけに安い代行業者も存在します。それらは、安い人件費で運営するため、知識が浅い(または全くない)スタッフで業務をマニュアル化して行うなど、質の低いものである可能性が高いです。安さを売りにしている業者は、提供しているサービスが適切であるかを見極める必要があります。

中小企業や小規模な会社の経営者の方には、上記の3つのポイントをしっかり確認し、信頼・気軽に相談ができる代行事務所=パートナーを選んでほしいと思います。
信頼できるパートナーを持つことで、大切な会社の事業・本業に専念することもでき、会社にとっても大きなメリットになってくれることと思います。


まとめ

 

中小企業や小規模の会社にとっては、給与計算業務はルーティンワークでありながらもかなりの負担のかかる業務です。うっかりミスだけでなく、正確な知識をもって行わないと会社への重大なリスクになりかねません。

 

この負担とリスクを軽減するためにも、給与計算業務をサポートしてくれる信頼できるパートナー(アウトソーシング)を持つことは長い目で見て大変有益なことではないでしょうか。

大切な従業員が楽しみにしているお給与、少しでも従業員が負担なく安心して・喜んで受取りいただけることが会社・経営者の方にとっての願いであり、そして会社の利益につながるのではないでしょうか。

当事務所でも、中小企業の経営者、クリニックや動物病院の院長様、スタートアップやベンチャーの支援を行っております。

リーズナブルな価格で、給与計算だけでなく、雇用のご相談や社会保険のご相談を受けております。お客様の目線になり親身になること、そして経営者と従業員のみなさまがともに成長できることをモットーにアドバイスさせていただいております。

 

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