2024-12-06

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行

2024年11月1日、フリーランスで働く方々の取引環境をより公正かつ透明にするための「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス新法」が施行されました。本法律の施行により、フリーランス(個人事業主や一人法人)として働く方や、フリーランスを活用する企業にとって、取引における適正化が求められるようになりました。

 

 

 

フリーランス新法とは

フリーランス新法は、特定受託事業者(主にフリーランスとして働く個人や一人社長)と取引を行う企業や団体に対して、取引条件の明示や公正な契約を求める法律です。

 

背景としては、近年のデジタル社会や働き方の多様化があります。会社に属さずにフリーランスという働き方を選ぶ人が増え、またITワーカーとして業務委託を受けながら自宅で働く人も増えました。その中で、フリーランスは労働基準法で守られず、フリーランサーらが取引先との関係で様々な問題・トラブルを経験していることが分かってきたため、政府として対応をした形です。

 

本法の対象となるのは、B to Bにおける委託取引が対象で、個人間の取引は対象になりません。

 

厚生労働省説明資料より

 

 

中小企業やクリニック・動物病院様にとっての義務とは

企業や団体には、義務が課されることとなりました。主なものをご紹介します。

 

いずれも、当たり前に見えますが、弱い立場にあるフリーランサーとコストを抑えたい企業の間では起こりがちなトラブルもあります。中小企業様やクリニック・動物病院様で、フリーランスの方へ委託している場合は、しっかり上記の義務は意識に入れておきたいものです。

 

 

  1. 取引条件の明示
    受託者に対して、業務内容、報酬、納期、支払い条件などを明示する義務があります。また、契約の変更が必要な場合も、事前に受託者と協議のうえで同意を得る必要があります。
    <明示すべき事項>
    ①業務委託事業者及び特定受託事業者の商号、氏名若しくは名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって業務委託事業者及び特定受託事業者を識別できるもの業務委託をした日
    特定受託事業者の給付(提供される役務)の内容
    ④特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける期日等
    ⑤特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける場所
    ⑥特定受託事業者の給付の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期日
    ⑦報酬の額
    ⑧支払期日
    ⑨現金以外の方法で報酬を支払う場合の明示事項

  2. 報酬支払期日
    納品日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払います(再委託の場合は、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)。

  3. 禁止事項の順守
    受託者に対して、不利な条件で契約を押し付けることや、受託者の権利を侵害するような行為が禁止されます。これには、過剰な業務要求や不合理な納期設定などが含まれます。
    ①受領拒否
    ②報酬の減額
    ③返品
    ④買いたたき
    ⑤購入・利用強制

 

これ以外にも、委託契約の期間によって義務が課せられるものや、募集時の注意点などがありますので、詳しくは厚生労働省の説明をご確認ください>>> 厚生労働省説明資料

 

 

違反に対する罰則

フリーランス新法への違反があった場合、国が企業(委託事業者)に対する助言・指導、勧告・命令などができます。また命令に違反したり、検査拒否があった場合には50万円以下の罰金が科せられます。

 

とは言え、そもそも違反がないようにフリーランスの方との契約内容の透明化や報酬の適正化など、信頼感の構築、労務上のリスク管理を日ごろからしっかり行っていくことがベストです。

 

 

 

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