【2026年に労基法はどう変わる?】中小企業・クリニックが今知っておきたいポイント
2026年に向けて「働き方」や「労務管理」に関する法律の見直しが進んでいます。まだ確定ではありませんが、厚生労働省の審議会で“どの方向に動きそうか”が明らかになってきました。
今回は、中小企業・クリニック・動物病院の経営者様が「これだけは押さえておくべき」2026年に向けた労務の重要ポイントをわかりやすく整理します。

目次
2026年に労働基準法はどう変わる?
2026年は大きく見直しがされそうです。厚生労働省は今年はじめ「労働基準関係法制研究会」の報告書を*発行しており、労働基準法等の見直しについて、具体的な報告書がとりまとめられました。
2026年に向けた労基法・関連制度のキーワードは「時代に合わせた働きやすさ」と「健康・安全の確保」だと感じます。これまで以上に健康かつ安全に働ける、また働きやすいと実感できる職場づくりのための検討が進められています。
<主な見直しの方向性(2025年秋時点)>
※現時点で議論されている内容のまとめであり、法改正が確定したものではありません。
- 勤務間インターバル制度が義務化に向かう流れ
- 連続勤務の上限規制(13日を超える連続勤務の禁止)
- 法定休日の特定義務
- 年次有給休暇の賃金算定における通常賃金方式のルールの明確化
- 副業・兼業の割増賃金について労働時間通算ルールの見直し
- 法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
- フレックスタイム制の改善施策 コアデイの導入
- つながらない権利に関するガイドラインの策定
*参照:労働基準関係法制研究会報告書
勤務間インターバル制度が“義務化”に向かう流れ
勤務間インターバル制度とは、退勤から次の出勤まで一定時間(例:11時間)を空ける仕組みです。現在は努力義務ですが、国の審議会では「中長期的には義務化を検討する」という表現が繰り返し出ています。
連続勤務の上限規制(13日超禁止)
現行制度では、法定休日として、労働者に毎週少なくとも1回の休日の付与が原則となっており、さらに4週間に4日以上の休日を与える変形休日制を取り入れています。しかし、実際は繁忙期や業種・職種の特性によっては、2週間以上にわたって休日のない連続勤務などを余儀なくされている例も存在しています。
そこで「13日を超える連続勤務を禁止」する案が議論されています。連続勤務が長くなると、従業員の健康リスクや過労の懸念が高まるためです。
法定休日の特定義務
現在、週休2日制が普及してきている現状では、1週の中に法定休日と所定休日が混在している場合が多くなっています。このとき、いずれの休日が法定休日なのかは不明確であるのが実際です。
法定休日(週1日以上)は、これまで「付与すればよい」とされていました。法定休日は、労働者の健康を確保するためであり、また労働者の私的生活を尊重しリズムを保つためのものであす。この認識が企業と労働者の間でも明確に認識されるべきであるとの考えから、どの日を法定休日とするか明確にする義務化が検討されています。
年次有給休暇の賃金算定:通常賃金方式の明確化
年次有給休暇の賃金計算に関して、「通常賃金方式」のルールを明確化する方向で議論されています。 具体的には、手当や割増賃金を含めて計算するかどうかの判断が整理されます。
副業・兼業の割増賃金に関する労働時間通算ルールの見直し
政府は副業を推進しています。現行では、本業先と副業・兼業先の労働時間と割増賃金の算定は通算管理が原則とされていますが、現場では「他社勤務の時間まで把握できない」という声が多く出ています。
通算管理は企業側の負担が大きく、副業・兼業の許可の障壁になっていることもあり、割増賃金の支払いに関する通算管理のみ、通算管理を適用しない方向で議論が進められています。
法定労働時間週44時間の特例措置廃止
現行の労働基準法では、特定の条件を満たす事業所では、1週間あたり44時間の労働が認められる特例措置が定められています。しかし、厚生労働省が実施したアンケート調査によると、87.2%の企業が特例措置を使っていない状況でした。そのため、特例措置の廃止が検討されています。
改正後は、法定労働時間週40時間への1本化が見込まれます。
<中小企業様・クリニックや動物病院様向けポイント>
- 現状の労働時間が週44時間に達している部署は週40時間に調整
- 超過分は残業として計上
- 勤怠管理のシステムでチェックできる体制を整える
フレックスタイム制の改善施策
現行では、フレックスタイム制度を部分的に適用することはできません。在宅の日と通常勤務日が混在するケースは多いのですが、このようなケースではフレックスタイム制が活用しにくい状況があります。
このようなケースでも、部分的にフレックスタイム制度を活用できる議論が進められています。具体的には、「特定の日については労働者が自ら始業・終業時刻を選択するのではなく、あらかじめ就業規則等で定められた始業・終業時刻どおり出退勤することを可能とすることにより、部分的にフレックスタイム制を活用できる制度の導入を進めることが考えられる。」などの議論がされており、何らかの改善施策が期待できます。
つながらない権利
「つながらない権利」とは、労働時間外に仕事のメールや電話に対応しなくて良い権利です。
例えば、「つながらない権利」を法制化しているフランスの例を見ると、具体的な内容の設定の仕方・範囲は労使で協議して決めており、その内容は企業によって様々です。ただし、労使交渉で合意に至らない場合には、つながらない権利について定めた憲章を作成することが使用者に義務付けられています。
この権利について、ガイドラインの策定が提言されました。
1000人を対象に行った調査*では、72.4%が「勤務時間外に部下・同僚・上司から業務上の連絡がくることがある」と回答しています。実際に、「ルールがあることで実際に取引先からの連絡が少なくなっている」と実感している人は73.3%となりました。ルール化させることで、労働時間外にはしっかり休めそうです。
*出典:日本労働組合総連合会による「“つながらない権利”に関する調査2023」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20231207.pdf
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