中小企業だからこそ取り入れたい「健康経営」、健康経営アドバイザーが教えます
こんにちは、大阪、奈良、京都、兵庫エリアの女性社労士、二上です。中小企業様およびクリニックと動物病院向けの社労士業務を行っています。
いよいよ寒さも増し、風邪など体調を崩しやすいこの時期、一層、健康に気を付けないと、と感じられているのではないでしょうか。
今回は、会社にとっての健康管理でもある、「健康経営」についてお話します。社労士として、主に労務に関するお仕事をする中で、会社が事業を行うための重要な要素は「ひと=従業員」であると常に感じております。「ひと=従業員」に不調が出てしまうと会社は正常に機能しなくなります。そのような事にならないためにも、従業員の健康維持を意識した「健康経営」が重要となるのです。
社労士、そして「健康経営アドバイザー」として、会社の健康、「健康経営」の大切さ、そして中小企業の方にも取り入れるためのポイントをご紹介いたします。
健康経営とは
健康経営とは従業員の健康を経営的視点から考え、戦略的に実施することをいいます。従業員の健康維持に投資をし、経営にプラスにしていこう、という考え方です。
少子高齢化が進む中、ひとりひとりが健康で活き活きと働き続けること、また医療費の削減にも寄与するなどの背景から推進されるようになりました。それ以外にも、健康経営は、人々のQOL(生活の質)の向上や、企業への業績向上など様々なプラスの効果があることから注目されています。
経済産業省ヘルスケア産業課の「健康経営の推進について」(令和4年6月)によると、米国ヘルスケア企業「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)」が実施した調査で、健康経営に対する投資のリターンが3倍にもなるという結果があったとその効果の大きさを強調しています。
出典:健康経営の推進について(令和4年6月)| METI/経済産業省 (meti.go.jp)
中小企業でも近年注目される「健康経営」
このような効果も期待される「健康経営」は、大企業だけでなく、中小企業の間でも近年重要視されています。
中小企業を対象とした『健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)』に認定された数を見ると、前年の約1.5倍(12,255社)にも増え、過去数年を見ても、毎年1.5~2倍で増え続けています。これを見ると、中小企業でも、健康経営への意識が急速に高まっていることがうかがえます。(そして、都道府県別の認定数のTopは、大阪府で1717。そして、2位愛知、3位東京都に次いで、4位に兵庫県も入っています。)
健康経営のメリット3つ
会社が健康経営へ投資することでの会社へのメリットは様々ありますが、大きく分けて3つあります。これら3つはどれも会社の経営・事業の継続にとっては大変重要な要素であることが分かります。
- 生産性の向上
従業員に疲労がたまっていると、集中力の低下やミスなどが増えてしまいます。健康に気を遣うようになり、心身共に健康になると、集中力も高まり、また気持ちも前向きに仕事に取り組むことができます。よって健康=生産性に大きく関係することが言えます。
- 従業員の欠勤・休職・離職を抑える
従業員が体調を崩したり、メンタル不調を抱えてしまうと、欠勤や休職につながることは火を見るより明らかでしょう。その結果、離職となってしまうということも考えられます。従業員の健康に配慮し、従業員が健やかに働ける職場は、欠勤・休職、そして離職を減らすことができます。
- 企業価値・イメージをあげる
「健康経営」に取り組んでいる会社は、従業員を大切にしている意識の高い会社として、社外からの評判・イメージが高くなります。「健康経営優良法人」として認定された会社からの例からでも挙げられるよう、従業員の健康や働き方を配慮している会社は顧客や取引先、そして就活生の就職先としても、高く評価されています。
また、働く従業員からも、「私たちの健康へ配慮してくれている」と感じることは、働いている会社への評価・忠誠心にもつながります。(そして、モチベーション向上にもつながる⇒1.生産性向上にもつながります)
中小企業におすすめ!健康経営の取り組み3つ
従業員の健康や生産性の向上は意識したいと思っているけれど「健康経営」への投資をするほど余裕がない…、と足踏みされる中小企業の経営者の方も少なくないでしょう。そんな中小企業の経営者の方のために、比較的取り入れやすい「健康経営」の3つをご紹介します。小規模だからこそ、「従業員の健康のために何ができるか」をポイントに、小さな取り組みからスタートすることをお勧めします。
- ワークライフバランスを意識した柔軟な働き方の導入
フレックスタイム制・短時間勤務やリモートワークの導入、ノー残業デーの実施、その他時間単位での有給の取得など。近年、働き方改革の流れもあり、このような柔軟な働き方が注目されています。育児、家事、介護、などそれぞれが持つ環境の中、仕事も両立させたいと考える方が増えています。
ワークライフバランスは、従業員の満足度の向上につながります。また、残業時間削減や生産性向上にもつながるので、「健康経営」の視点だけではなく、検討いただきたいポイントです。
- コミュニケーションを取りやすい環境をつくる
従業員の健康を考える上で、職場の「人間関係」「コミュニケーション」は、大変重要なことです。コミュニケーション作りについては、業務を効果的に行う上でもとても大切な要素にもなります。また、日々のコミュニケーションの中で、体調に不安があるなどの共有ができやすい環境づくりにも役立ちます。
- ストレスチェックの実施など、メンタルヘルス対策
従業員のメンタルヘルスケアについては、労働契約法の「安全配慮義務」として、企業がすべき対策です。50人以上の従業員がいる事業所では年一回のストレスチェックが「義務化」とされるなど、従業員のストレスやメンタルヘルスについての対策は、実施すべき取り組みと言えます。
中小企業でも、「健康経営」の取組みとして、ストレスチェックの実施や、メンタルヘルスケアについての研修や啓発活動を取り入れ、従業員の意識を高めることも「健康経営」への第一歩となります。
上記にあげた以外にも、それぞれの職場に合った「健康経営」の取り組みが考えられます。職場の規模などによっては、従業員からのアイデアなどを募って実施をすることで、従業員の意識の高まりや、コミュニケーションの向上にもつなげることもできます。
「健康経営」は、まだ新しい概念で、中小企業やクリニック・動物病院では何をすればいいのか?とお悩みになる方も多いと思います。そんなお悩みをお持ちの経営者の方・院長先生に、健康経営アドバイザーとして、導入にあたってのサポートや「健康経営」の取組み実施で活用できる助成金などもご提案しております。
中小企業やクリニック・動物病院で健康経営について考えたい、取り組みを実施したい、とお考えの方、その他、労務管理、社会保険手続き、など従業員の雇用に関するお悩み・ご相談など、お気軽にお問合せください。
当事務所は大阪に拠点をおき、関西圏(京都・兵庫・奈良)を中心に中小企業の経営者さま、クリニックや動物病院の院長先生、スタートアップやベンチャーの支援を行っております。
従業員・スタッフの雇用に関するお悩み、社会保険の手続き、就業規則や諸規程の作成、助成金の申請など、人事・労務に関する様々なご相談を承っております。
実績ある女性社労士として、お客様目線で親身になること、経営者と従業員の皆さまがともに成長できることをモットーにアドバイスさせていただいております。