2024-04-26

【厚生労働省が対策強化へ】女性活躍推進とハラスメント

厚生労働省は2月29日、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」を設置しました。現在、専門家や各企業へのヒアリングを進めており、この夏をめどに女性活躍推進の方向性を取りまとめる予定です。本日はこの背景や、中小企業様およびクリニック・動物病院様にどうかかわるか、見ていきます。

 

 

 

女性活躍推進に関する検討会の背景

 

背景として、2019年に法律が改正*されてからも、依然として男女の賃金差異が大きく、女性管理職の割合も国際的に低い水準にとどまっていることや、実態としてハラスメントの相談件数が高止まっていることがあります。

*女性活躍推進法等改正法が成立し、一般事業主行動計画の策定義務拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設等を講じた)

 

また、女性活躍推進法は2015年から2025年度までの時限立法とされています。そのため、2026年3月31日に女性活躍推進法は失効するため、改めて女性活躍推進等に関する現状や論点を整理し、その方向性について検討を行う必要があるのです。

 

 

女性雇用者数が多い業種、医療福祉と流通

 

クリニック・動物病院の院長先生、また中小企業の中でも卸売り・小売業の経営者様は肌感覚としてご存じかとは思いますが、女性雇用数が特に多いのが「医療、福祉」および「卸売

業、小売業」です。

 

厚生労働省 資料

出所:総務省「労働力調査(令和5年)」

 

 

もちろん、これ以外の業種であっても大事ですが、医療・福祉・流通に携わる企業様は特に女性活躍や女性管理職比率、またハラスメントについてご注目いただきたく思います。

 

 

女性活躍のための現在の施策

 

  1. 優良企業の認定


    えるぼし認定・プラチナえるぼし認定についてご存じでしょうか?女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の認定を受けることができます。女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。

    認定企業一覧の中には、中小企業様も多く、常時雇用する労働者が数人~100人程度の中小企業でも女性が活躍し、認定されていることがうかがえます。

     

  2. 日本政策金融公庫による融資制度

    「えるぼし」認定を取得した企業は、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」を通常よりも低金利で利用することができます。

  3. 「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目

    常時雇用する労働者が301人以上の事業主様はすでに対象ですのでご存じかと思いますが、2022年に「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となりました。男女の賃金格差が他の先進国と比べて大きいため、格差の是正を図るために2022年に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務づけられました。

  4. 事例や同業他社の情報紹介

    厚生労働省は、女性の活躍推進企業データベースを公開しています。女性活躍・両立支援に積極的に取り組む企業の事例集を見ることができたり、同業他社の取り組みを知ることができます。また同じ地域の企業の女性活躍の状況も参考にできます。

 

 

女性活躍推進を阻む課題

 

ここまで見てきたように、この10年間で女性活躍推進の施策はある程度行われてきました。本年の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」では、女性活躍推進を阻む課題のうち、ハラスメントを大きく取り上げています。

 

これには、女性に関わるパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなどが含まれます。さらに顧客等からの迷惑行為としてカスタマーハラスメントも検討課題に挙がっています。

 

均等法、育介法、労推法では、

  • セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント
  • 育児休業等に関するハラスメント
  • パワーハラスメント

について雇用管理上の措置義務を課し、ハラスメントの防止を図っています。

 

それでも、法制定後も、労働局へのハラスメントの相談件数は高止まりしている状況を重く見ています。

 

 

自社・自クリニックでも女性活躍やハラスメントを見直しましょう

 

このように厚労省の検討会からの方針は対策強化の方向へと向いています。すでに女性活躍やハラスメントに関しては何かと話題になっていますが、これを機に自社や自クリニックの状況も見直してはいかがでしょうか。

 

  • 女性活躍による「えるぼし」認定の検討
  • 男女による賃金格差はないか?
  • セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメントは大丈夫か?
  • 育児休業等に関するハラスメントはないか?
  • パワーハラスメントがないか?
  • 従業員に対するカスタマーハラスメントから、従業員を守れているか?

 

 

当事務所でも、労務顧問契約先様に対して、「ハラスメント防止研修」を実施しています。セクハラ・マタハラ・パワハラは会社を揺るがす大きなリスクになります。ハラスメントを未然に防ぐための研修です。こちらもぜひご検討ください。

 

 

当事務所では、中小企業様やクリニック・動物病院様に向けた従業員の雇用や人事労務に関するご相談など、女性社労士がご相談承ります。その他、中小企業様、クリニック・動物病院様のニーズに合わせた研修なども実施しております。お気軽にお問い合わせください。

 

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