2021-12-13

パワーハラスメント研修の事例(管理職向け)

こんにちは、大阪、奈良、京都、兵庫エリアの社労士、二上です。中小企業様およびクリニックと動物病院向けの社労士業務を行っています。

 

大阪のある企業様で、社員研修として「役員・管理職対象 パワーハラスメント防止研修」を行いましたので、その事例と受講者のアンケートとともに振り返ってみたいと思います。

 

 

以前、中小企業のパワーハラスメント対策が義務化されることは、こちらで書きました。2020年(令和2年)6月からパワーハラスメントの防止に関する法律が施行され、現在、防止措置が努力義務である中小企業も2022年(令和4年)4月より義務化されることになります。今のうちからパワハラ研修を導入する中小企業様が増えてきています。

 

本日ご紹介するK社様も、パワハラ防止研修を実施されました。

 

 

パワーハラスメント防止研修のK社様の事例

 

パワーハラスメントを中心にハラスメントの一般的な知識とパワハラにならないためのコミュニケーション方法を学んでもらう、という内容で実施しました。

 

以下のような概要で行いました。

 

場所: 大阪市

業種: 製造業

人数: 役員・管理職10名(男性9名うち役員2名、女性役員:1名)

内容: パワーハラスメント防止研修

時間: 2時間研修(途中10分休憩)

 

パワハラ研修実施後にアンケートを実施しました。このアンケートから、抜粋し、このあとご紹介しています。ホームページ読者の方へ分かりやすいよう、実際の表現から少し変更している場合もありますが、意味は変えておりません。

 

パワハラについて、知らなった事

 

 

受講された皆さまが、パワハラについて知らなかったことには、下記のようなものがありました。行動へ移していくためには、まず第一歩として知識として知ることから始まりますね。

 

  • 「マタハラ」という言葉は初めて知った。
  • 「SOGIハラ」と「パタハラ」という言葉を知らなかった(注釈参照)。
  • SOGIハラやパタハラ以外の言葉は知っていたが、詳しい説明を受けられて良かった。
  • パワハラ認定の要素について知らなかった(①職種や立場を背景とした言動②必要以上の言動③被害者の就業環境が侵される)
  • 強い立場の者は、弱い者への配慮が必要
  • 一方的に感情的になって話すことはパワハラであることを初めて知った
  • いまどきのゆとり世代はとてもデリケートでパワハラによって会社をやめるケースが多くあることは知りませんでした
  • 厚労省がサイトをつくってまで、国をあげて対策しようとしていることを知った

 

 

*SOGIハラ…LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティの人たちに対する、性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)を理由とする不当な差別的言動・嫌がらせ。

*パタハラ…パタニティ・ハラスメントの略です。 パタニティとは、Paternity(父性)で、男性社員の育児休業制度などの利用に関して、上司・同僚からのいやがらせ。

 

皆さまに「自分の言動」を振り返ってもらいました

 

 

研修の中で、自分の発言や行動を振り返っていただくワークも行いました。その中で、気づきが出てきました。自分は大丈夫、という方から、実際に自己のパワハラに気づく方まで様々でした。時間をとって、自分と向き合い、自分に気づくことは非常に大切です。

 

  • 自分で自覚しないうちに相手のためと思ってした言動が、過去に相手を傷つけていたことに気づいた。
  • 相手には相手の思いがあるから、それを否定しては決していけない、ということに気づいた。
  • 今まで自分がしてきた注意を振り返ると、相手を傷つける言動がまだまだあると反省した。パワハラと指導の違いを再確認した。
  • 自分では知らないうちに、相手に対して高圧的にパワハラをしていると思う。自分と向き合って、自分を知って、コントロールして、相手に接していく必要がある。
  • 「お前」と呼ぶ事はハラスメントと受け取られることがあることが分かった。
  • 自分はパワハラにはならないと思う。

 

研修を受けてみての変化(行動変容)

 

 

知識として、知って、その後どう活かすか、が大切です。受講された皆さまからは、前向きな行動変容への意気込みが多く聞かれました。相手の事を想像すること、そして適切なコミュニケーションの大切さなど、重要な事を学んでいただくことができました。パワハラに関わらず、良い職場をつくるには、風通しの良さやコミュニケーションは欠かせません。受講された皆さまのアンケートを読んでいて、とても前向きで嬉しくなりました。

 

  • 明るく風通しの良い職場がやっぱりいいな、と思う
  • 「指導とパワハラの間」にしっかり線引きして対応したい
  • 感情のコントロールのために、今後6秒ルールを使い努力したい。
  • 会社でのパワハラ、家でのモラハラ、仲間へのいじめなど、今まで生きてきた中でのいくつかのシーンがフラッシュバックした。あの時の相手の気持ち、自分の気持、どう対応すればよかったのか、自分を振り返えることができた。
  • コミュニケーションの重要さが良く分かった。若い人や現場の人とともコミュニケーションをとっていきたい。
  • もっと相手のことを思いやる、ということをもって、発言できる・コミュニケーションできる人に変わっていきたい。
  • 土日祝日に出勤することがあるので、他の人にプレッシャーを与えないように注意したい。
  • 具体的に何がパワハラになるか学んだので、会話や態度に気を付けていきたい。
  • 自分が社会人になりたての頃は良かったことが、今ではNGな事ばかりでびっくりした。

 

また、今後にパワハラ研修はどう活かせるのか?という質問に対しても、下記のような声が聴かれました。研修はせっかくしても、今後に生きていかないと意味がありませんね。今後のコミュニケーションや対人関係に活かしていただくことで、働きやすい職場を管理職や役員のみなさん自らがつくっていただきたいと思います。

 

役員の方からは、役員や管理だけでなく、一般社員にも受けていただきたい、というお声もいただきました。会社全体で、しっかり理解していくことも大切ですね。

 

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