2024-03-23

36協定の期限は切れていませんか?

労働時間に関する違反のうちで、定期監督で多くみられるのが、「36 協定未締結」または「36 協定の期限切れ」であることをご存知でしょうか?

 

中小企業様や、クリニック・動物病院様で、従業員が残業するようでしたら、経営者としてどのようなポイントを理解しておくべきか、ぜひお読みいただければと思います。

 

 

 

 

36(サブロク)協定とは

 

従業員に時間外労働(残業)をさせるためには、通称「36協定」が必要です。

 

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています(法定労働時間)。法定労働時間を超えて残業をさせる場合には、下記が必要です。

  • 労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定)の締結
  • 所轄労働基準監督署長への届出

 

厚生労働省パンフレット「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」

 

 

 

36協定の期限とは

 

36協定は、有効期間の必要性が法律*で定められています。最長3年まで有効期間を設定できますが、多くの場合は、業務の形態に合わせて1年と定めて毎年見直すのが良いとされています。

*労働基準法第十二条の二の二

 

36協定をそもそも出していない、ということであれば、すぐに届け出る必要がありますが、その後も、1年に1回更新するのにしていないといったケースは少なくないものです。未締結や期限切れに心当たりのある経営者様は、すぐにご対応をお願いします。

 

 

 

事例①:従業員とトラブルになった際にも問題となります

 

誤解されているケースで「36協定があるから残業代は払わなくていい」といったものがありますが、この認識は間違っています。      

 

このような認識の他、36協定の締結忘れや、期限切れがあると、経営者としては非常に不利な立場に立たされることになります。特に、従業員と残業代未払いでトラブルになった時に問題となります。この場合、従業員は36協定の未締結でも残業代を請求する労働者としての権利はありますが、一方で経営者は、36協定の未締結で違法な残業をさせた上に、残業代が未払いですから言い訳ができません。

 

近年では労働者側の知識も豊富になってきていますので、36協定を結ばずに残業させられた労働者が、労働基準監督署へ通報するといったケースもあるでしょう。

 

 

事例②:36協定の期限切れに関する事例

最近では、2024年1月23日に、ある会社の社長が東京地検に書類送検される事例がありました。

 

食品加工業の会社の代表取締役が、36協定の期限が切れていながらも週40時間を超える時間外労働をさせたためで、東京・立川労働基準監督署が違反としました。(労働基準法第32条(労働時間)違反の疑い)

 

この会社は、数年前に労基署の定期監督が入り長時間労働を確認していました。その際に36 協定が締結されていなかったため、是正勧告が出されました。会社は協定を締結・届出して是正報告しましたが、その後一度も協定を更新せず、期限切れになっていました。今回、2023年7月の定期監督で違反が発覚後も、9月に時間外労働をさせ、違反を繰り返したことや時間外労働が長かった点を悪質とみて送検に踏み切ったようです。

 

 

 

ここまで見てきたように、経営者として従業員に残業をさせる場合は、年に一度、36協定が切れていないか、ぜひご確認ください。

 

残業時間について、詳しくはこちらにも書いていますので、合わせてご覧ください。

残業時間が気になったら「労働時間管理」 - 大阪府東大阪の女性社会保険労務士事務所クレイン人事労務パートナーズ (sr-crane.com)

 

 

 

当事務所でも36協定の提出、労働時間に関するご相談、トラブルを避ける雇用契約書の作成、就業規則の作成・改定などをおこなっています。中小企業様やクリニック・動物病院様からの人事労務に関するご相談など、女性社労士がサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。

 

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