2022-05-20

従業員雇用時におさえておきたい「人事・労務各種書類の作成」トラブルを避ける!

トラブルから会社を守る!重要な書類作成と管理


従業員・スタッフを雇い入れることは、事業を活性化・成長するには不可欠な存在です。
会社を設立される方、個人事業主として開業される方は、今すぐではなくとも従業員・スタッフを雇用することを検討されている方は多いのではないでしょうか。

 

欠かせない存在である一方、従業員・スタッフを雇用することで発生するトラブルのリスクは避けられません。

従業員の過労問題、通勤・勤務時の事故、情報漏洩や過失、退職後に起こるトラブルなど。どれも皆さま一度は聞いたことのある事例ではないでしょうか。
このようなトラブルは全ての会社に起こりうることで完全には防止することはできません。

しかし、起こりうるトラブルを見据えしっかりと対策をすることで、会社にとって大きな損失・損害となることを防ぐことができます。

このような起こりうるトラブルを未然に防ぐために経営者・事業主の方ができる対策の一つが、契約書、誓約書や合意書などの書類を整え、作成・管理しておくことです

 

トラブルを避けるために準備すべき資料として挙げられるのが、

  • 法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)
  • 雇用契約書と労働条件通知書
  • 秘密保持誓約書
  • 身元保証書
  • 自転車/自動車/バイク通勤の許可証
  • 退職時の誓約書

などです。

上記にあげたものの中には、法律上必須ではない書類もありますが、それぞれの職場・事業場の環境や特性にあわせて必要とされるものを作成・管理することで起こりうる様々なトラブルのリスクを減らすことが可能です。

「書類の作成・管理でトラブル回避!?」と思われる方もいるかもしれません。
適切な書類を正しく作成・管理することは、労務管理をする中では大変重要です。
そして会社を守ってくれるものとなります。

それでは、上記にあげた資料についてどのような書類か、どのような目的で作成するか、などを詳しく見ていきましょう。


「法定三帳簿」を作成・保管し労務管理書類を整える


まず1つめに、従業員・スタッフを雇用される経営者(そして個人事業主の方)に必ず押さえていただきたいのが「
法定三帳簿」の作成と保管です。

法定三帳簿」とは、経営者として従業員・スタッフを一人でも雇用したら必ず作成・保存しなければならない3つの帳簿です。個人事業主を含め、雇用主となると以下の3つの帳簿の作成し労務管理をすることが労働基準法によって義務付けられています。

 

法定三帳簿

  • 労働者名簿…労働者の個人情報を記録した書類
  • 賃金台帳…毎月の給与額面などを記録した書類
  • 出勤簿…労働者の出勤時間や退勤時間などを記録した書類

それぞれの帳簿に記入する内容や保存期間は以下の通りです。これに従って漏れなく正しく作成・保管することが必要となります。

法定三帳簿
 

労働者名簿

賃金台帳

出勤簿

記入事項

  • 労働者の氏名
  • 生年月日
  • 履歴
  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
    (※従業員が30人未満の事業場の場合は記入不要)
  • 雇入れの年月日
  • 退職年月日およびその事由
    (解雇の場合はその理由を含む)
  • 死亡の年月日およびその原因
  • 氏名
  • 性別
  • 賃金計算期間
  • 労働日数
  • 労働時間数
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数
  • 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
  • 労務協定により賃金の一部を控除した場合はその金額
  • 氏名
  • 出勤日
  • 始業・就業時刻
  • 休憩時間

保存期間

労働者の死亡、退職または解雇、の日の翌日から3年間(法改正により本来は5年間)

最後に記入された日から3年間(法改正により本来は5年間)

労働者の最後の出勤日から3年間(法改正により本来は5年間)

対象者

パート・アルバイト問わず全ての労働者(※日雇い労働者は除く)

日雇い労働者も含めた全ての労働者

日雇い労働者も含めた全ての労働者


労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の三帳簿については、上記にある記入事項がまとまっていれば様式に定めはありません。とはいっても、法律で定められている書類ですので、漏れなく正しいものを作成したいですよね。

以下の厚生労働省のHPには各種ダウンロード可能な様式が掲載されています。こちらにある様式を参考に作成されてみてもいいでしょう。(※出勤簿については様式の掲載はありません)

主要様式ダウンロードコーナー|厚生労働省>>


法定三帳簿は、基本的には提出の必要はありませんが、雇用保険の手続きや助成金の申請、労働基準監督署の調査が行われる場合には必要となる場合があります。
また、法定三帳簿の作成・管理は雇用主として労務管理の基本中の基本です。
特に、賃金台帳と出勤簿は「労働時間の適正な把握のため」を担う重要な書類になります。必ず作成・管理し、従業員・スタッフの労働時間、十分な休暇、適切な賃金の支払いを管理しましょう。

 

 

「雇用契約書」・「労働条件通知書」で労働条件の確認・合意を行う

 

次に、従業員・スタッフの採用・雇用をされる経営者・個人事業主の方におさえていただきたいのが、「雇用契約書」と「労働条件通知書」の作成です。

「雇用契約書」と「労働条件通知書」の違い

この2つの書類は、採用した従業員・スタッフに対して、就業を始める前に「労働条件」を明示するものです。「雇用契約書」も「労働条件通知書」も記載される内容が似ているため混乱される方が多いのですが、この2つの書類は別のものとして取り扱われますので注意しましょう。

「雇用契約書
「労働者と事業主(使用者)との間の雇用契約の内容を明らかにするため」の契約書ですが、法律上作成が義務付けられていません。契約というものは、当事者双方の意思の合致があれば成立するものなので、口頭だけでの合意でも雇用契約は有効に成立するのです。

 

「労働条件通知書」は、
事業主(使用者)が採用した従業員に「労働条件を明示する」ための書類で、労働基準法第15条で作成・交付が義務付けられています。アルバイト・パートなどの雇用形態に関わらず、全ての従業員に対して必要
になりますので必ず作成・交付しなければなりません。

労働条件通知書に必ず記載すべき項目は、労働基準法施行規則第5条>>に定められています。下記の表右にあるものは「必ず明示」する事項、表左にあるものは、「会社が条件を定めている際」に明示する任意事項となります。


必ず明示する事項

 

  1. 労働契約の期間に関すること
    • 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
    • 就業の場所や従事すべき業務に関すること
  1. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関すること
  2. 賃金(退職手当、賞与などを除く)の決定、計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期に関すること
  3. 退職に関すること(解雇の事由を含む)
  4. 昇給に関すること

定めをしたときに明示する事項

 

  1. 退職手当を受けられる労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関すること
  2. 臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金額などに関すること
  3. 労働者の負担となる食費、作業用品などに関すること
  4. 安全・衛生に関すること
  5. 職業訓練に関すること
  6. 災害補償・業務外の傷病扶助に関すること
  7. 表彰・制裁に関すること
  8. 休職に関すること

(出典:労働基準法施行規則第5条|e-Gov法令検索>>

 

「雇用契約書」の作成は必要?

前述の通り、口頭だけでも雇用契約は成立しますし、また「労働条件通知書」だけを交付すればいいと思われがちですが、安易な雇用やトラブルを避けるためにも、雇用時に労使双方きちんと雇用の条件を確認合意し、「雇用契約書」によって雇用契約を結ぶことをおすすめします。

また、
「労働条件通知書」はあくまでも、事業主が一方的に提示する書類なのに対し、「雇用契約書は両者の合意に基づいて作成される書類なので、使用者(会社)と労働者(従業員)が内容確認・合意したら署名・押印をします。
署名・押印があることで、提示されるだけよりも中身の確認をするよう促せるでしょう。そして、両者が合意しているものとして記録にも残りますので「雇用契約書」も併せて作成・保管をしましょう。

といっても、わざわざ同様の内容のものを2つ準備するのは、作成・管理どちらの面でみても手間となってしまいます。また、どちらか一方に誤りや不一致があればそれもトラブルのもとにもなり兼ねません。

そのような、手間や誤りを最小限にするために、「雇用契約書」と「労働条件通知書」の2つの役割を兼ねた「雇用契約書兼、労働条件通知書」というものを作成し、双方が署名・押印すれば、雇用契約と労働条件について合意があったことが明らかになります。

 

「雇用契約書」・「労働条件通知書」を作成するときの注意点

雇用契約書や労働条件通知書を作成する際に注意すべきことは、就業規則の内容と相違がないかです。
就業規則を無視した労働条件の設定は、労使トラブルを引き起こす原因となりますので注意しましょう。
また、従業員に雇用契約書・労働条件通知書のコピーを渡して保管しておくように伝えましょう。

就業規則については、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
会社のルールを整備するなら「就業規則・諸規定の作成見直し」>>

 

今まで当事務所で関与してきた事業所様でも、きちんとした雇用契約書や労働条件通知書がないところがあり、そのような事業所様では過去に労働条件で労使のトラブルが起こっています。
労働条件については労使の合意が必須です。
言った、言わないのトラブルを避けるためにも労働条件については必ず労使が合意し書面で残すことが、労働トラブルを回避するために不可欠です。
特に有期契約の従業員ついては更新の都度雇用契約書にて契約更新を行ってください。

 

「秘密保持誓約書」で情報漏洩を防ぐ


デジタル化や、インターネット・SNSの普及が進んだ現代、「情報漏洩」のリスクは年々高くなっています。大企業などを狙い、悪意を持った第三者による情報の盗み出しがよく話題にはなりますが、内部の人間が職場で知った内部の情報を外部に漏らすケースも増えています。

情報漏洩は、職場や事業に大きな影響を与えるだけでなく、お客さまや取引先などにも影響を与えるケースに発展することもあります。
このような重大な問題にならないためにも、情報漏洩を防ぐために「秘密保持誓約書」を作成し、従業員・スタッフと秘密保持の誓約を結んでおくことは重要です。

秘密保持誓約書とは?

雇用契約をする場合に、「そこで知り得た情報を第三者に開示してはいけませんよ」という誓約書です。

情報の内容としては、
1) 個人情報、
2) 営業に関する秘密・情報、
3) 業務を遂行している間に知った内部の情報、があげられます。

 

情報漏洩は、内部の人間が悪意なく情報を漏らしてしまうケースも増えつつあります。
SNSで職場のことをつぶやいたことが、社外秘の内容であったり、顧客の個人情報にあたるものであったり、と容易に外部に情報が洩れてしまう時代です。
そのため、
全ての従業員・スタッフに「秘密保持誓約書」を提出してもらうこと、そして「秘密保持」の重要性と意識を高めてもらうことは大変重要なことです。

SNSの投稿に関しては、「情報漏洩」以外にも、従業員・スタッフの「不適切な発言・投稿」が会社・事業の社会的価値を損なうこともあります。そのため、職場で定期的に研修を実施したり、SNSへの投稿に関しての規定を就業規則に入れる、または個別に規則(ガイドライン)などを設け誓約書を作ることで、従業員・スタッフの意識を高め、リスクを下げることもできます。

この「秘密保持誓約書」は、入社時に就業規則の遵守などを誓約してもらう「入社時の誓約書」の中に盛り込んでも良いでしょう。



「身元保証書」で重過失や緊急時に備える


身元保証書」とは、雇用する従業員・スタッフの身元を第三者に保証させる書類で、その従業員・スタッフの経歴や素性に問題がないかを保証してもらうことができます。
また、
もしも従業員が会社や事業へ損害を与えた時に、その損害賠償責任の連帯保証人として保証してもらうこともできますが、会社が被った損害をすべて賠償してもらえるわけではありません。

「身元保証」や「連帯保証人」と聞くと、不安を煽るのでは・・?と思われる方もいるかも知れません。

しかし、素性の分からない個人を職場の仲間・一員として受け入れるにはとても重要な手続きです。そして、もしものトラブルの際には会社・事業を助けてくれる書類にもなります。 

身元保証書の重要な目的

身元保証書を提出してもらう目的は、大きく3つあります。
この3つは、従業員・スタッフを雇う上でのあらゆるリスク対策となる重要なものとなります。

  1. 損害賠償の担保する
    従業員が重大な過失や不祥事を起こし会社が損害を受けた場合、本人だけでなく身元保証人にも賠償の請求ができます。従業員本人の能力で賠償できない場合も起こりうるので、身元保証書は金銭的な損害リスク軽減にもなります。

  2. 従業員への意識付けになる
    身元保証人をおくことで、「自分の不祥事で迷惑をかけないようにしよう」という気持ちが働きます。身元保証人は多くの場合、近親者や親しい友人にお願いすることが多いので、なおさら迷惑を掛けないための意識が高まるでしょう。

  3. 身元の保証・緊急時の連絡先の確保する
    書類のタイトルのとおり、雇用する従業員の身元(素性)を身元保証人である第三者が確認・保証してくれる意味があります。また、業務中の事故・急病や、無断欠勤が続き本人と連絡が取れないときなどの緊急時の連絡先を確保することもできます。
身元保証書に記載する内容は?

身元保証書に記載される内容については、定められたルールなどはありません。会社・職場によって必要とされる内容を記載することができます。

とはいっても、身元保証書として効力があるように記載するべきものがあります。
その内容は以下の通りです。

  • 雇用される従業員の住所、氏名、生年月日、印鑑(※)
  • 身元保証人の住所、氏名、生年月日、印鑑(※)
  • 従業員が会社に対して損害を与えた場合には保証人も連帯して賠償の責任を負う、という内容
  • その賠償額の上限
  • 保証期間(最長5年)

従業員と身元保証人の印鑑証明については必須ではないですが、架空の身元保証人を記載することを防ぐために求められる会社・事業所も少なくはありません。

また、身元保証人の賠償額の上限については、2020年4月の民法改正により、記載が必要となっています。記載がない場合、契約自体が無効になるので注意しましょう。

保証期間については、記載がない場合原則3年とされています。定める場合は、最長5年とされています。期間が満了した後には自動更新とならないため、再度保証書を作成し提出してもらう必要がありまるので、忘れないようにしましょう。

身元保証書の書き方や様式については、当事務所でもそれぞれの会社・職場に合ったものをご提案させていただいております。ぜひお問い合わせください。



「自転車/自動車/バイク通勤許可申請書」で通勤によるリスクを低減する


従業員・スタッフに自転車やバイクでの通勤を許可している職場は少なくないのではないでしょうか。近隣に住む従業員や主婦の方を採用するには、「自転車/自動車/バイク通勤が可能か」は、従業員を集めるのにも大きなポイントとなります。

また、新型コロナウィルス感染症の拡大や国民の健康を目的に、国をあげて自転車通勤を推進(※)しています。(※
『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト || 国土交通省>>

そのような中、会社・職場が「従業員・スタッフが安全に自転車/自動車/バイク通勤ができるよう」対策し、適切に自転車/自動車/バイク通勤の許可をすることが不可欠となります。

自転車/自動車/バイク通勤を許可することの課題
  • 自転車/自動車/バイクを停めるスペースの確保
    近隣の迷惑・トラブルにならないように、十分なスペースを確保できているか

  • 自転車/自動車/バイク通勤の通勤手当
    自転車/自動車/バイク通勤の際の通勤手当をどのように支給するかが明確か
    (※マイカー・自転車通勤手当について「非課税となる限度額」があるので、参考に決定することをおすすめします。)
     参照:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当|国税庁>>

  • 自転車/自動車/バイク通勤の安全対策
    事故防止の対策、事故の際の対応などがしっかり整えているか

 

職場で自転車/自動車/バイク通勤を許可するには、上記3つの課題が全てクリアになっていることが必須です。このうちの1つでも欠けていたりあいまいになっていると、後になってトラブルの原因となるので注意しましょう。

3つの中でも最も注意すべきものは、安全対策です。自転車/自動車/バイク通勤を許可することは、必ず事故のリスクが伴ってきます。そのため、会社・事業所として安全対策をし、自転車/自動車/バイク通勤を許可するルール・基準を整えることが重要となります。

 

「自転車/自動車/バイク通勤許可申請書」のポイント

自転車/自動車/バイク通勤を許可するために、希望する全ての従業員・スタッフに「自転車/自動車/バイク通勤許可申請書」を提出してもらいましょう。
この書類は、通勤の許可するために必要な情報を記入してもらうことがポイントとなります。申請書のフォーマットについて決まった様式はありません。それぞれの会社・職場の通勤許可のルール・基準に沿ったもので策定することが好ましいですが、以下のポイントについては記載(確認)するようにしましょう。

  • 自転車/自動車/バイク通勤の規定の厳守
    自転車/自動車/バイク通勤をする上での規定をしっかりと整え、厳守することを徹底しましょう。道路交通法や関連諸法令の準拠をもとにした、安全運転のルールを規定するほかに、事故時の対応についてもしっかり決めておきましょう。

  • 通勤に使用する自転車の証明をとる
    通勤に利用される自転車/自動車/バイクを把握しておきましょう。自転車の場合、防犯登録への加入は義務ですので、必ず登録されている自転車/自動車/バイクのみ許可するように徹底しましょう。

  • 通勤経路の確認を行う
    通勤経路を把握することは、もしもの事故の際の労災認定にも重要な内容となります。また、通勤手当を通勤距離で支給する場合などには必要な情報となります。その他、通勤経路が安全であるかの確認にもなります。

  • 保険への加入の徹底
    現在では多くの都道府県で自転車保険への加入が義務付けられています。近畿地方では、京都・大阪・兵庫・滋賀・奈良・三重は自転車保険の加入は義務となっています。和歌山県でも「努力義務」(推奨)となっていますので、保険の加入を職場で徹底することは、リスク対策としても重要です。
    (令和3年度の地方公共団体ごとの自転車保険の義務の状況については、以下の通りです)


地方公共団体の条例の制定状況(令和4年4月1日現在)

(国土交通省調べ)
出典:
重点的な取組 || 自転車活用推進官民連携協議会>>


「自転車/自動車/バイク通勤許可申請書」の内容に基づき、それぞれの従業員・スタッフの自転車(自動車)通勤を適切に許可するように徹底しましょう。

また、自転車通勤の導入・実施を検討されている事業者に向けて、「自転車通勤導入に関する手引き>>」が国土交通省より発行されています。こちらには、「自転車通勤規定」や「自転車通勤許可申請書」などのサンプルもありますので参考にしてみてください。


退職後のトラブルに備える「誓約書」


退職する従業員・スタッフに対しても、対応を怠ると大きなトラブルに発展することになりかねません。退職後のトラブルに発展しないためにも、おさえておいていただきたい書類が「
退職時の誓約書」です。

退職時の「誓約書」とは?

退職時の誓約書は、退職する従業員に、退職後も競業避止義務および秘密保持義務を誓約してもらい、退職後に競合他社への就職や在職中に知り得た情報を利用または開示しないように促すものです。

退職時の誓約書の内容のポイントは、

  • 秘密情報・秘密保持の対象は何か(秘密保持の確認)
  • 退職時に全ての機密情報を会社に返却したこと(秘密の帰属)
  • 退職後に秘密情報を使用しないこと(秘密保持の誓約)
  • 退職後に秘密情報を他の第三者に開示をしないこと(秘密保持の誓約)
  • 情報の不正利用の際はペナルティが課せられること(損害賠償)
  • 一定の制限期間内に競業する会社への就職や、競業する企業を自ら開業したりしないこと(競業避止義務)

となります。

なお、競業避止義務の期間を定義する際に気を付けたいことは、長期(1年を超える)ものにしないことです。内容によっては従業員の職業選択の自由の権利が侵害されるので、競業避止義務について誓約書に記載する場合は注意が必要となります。

上記のポイントをしっかりおさえ、退職する従業員に誓約してもらうことで、会社・事業に関わる重要な情報が漏れないように対策をしましょう。

 

また、機密事項ではありませんが、ある研修会社様で、講師が退職後に会社作成のテキストの内容やノウハウを自分のものとして使用したり、またあるクリニック様では入社時の研修だけ受けて、クリニックのマニュアルを持ち帰ったまま1か月もたたないうちに退職してしまったケースがありました。

このようなことは完全には防ぐことはできませんが、退職時に誓約書を提出してもらうことである程度の抑止力にもなりますし、実際に損害が発生したときに損害賠償請求を考えるうえでの重要な書類になり得ます。

普段から、会社や事業所のマニュアル等は持ち帰らせない、研修資料は一度に渡さないなど、時間をかけて培った大切な情報やノウハウを簡単に持ち出されないような対策を取ることを
お勧めします。

 

まとめ

従業員・スタッフを雇用することで、様々なトラブルが発生するリスクがあります。

そのリスクを最小限にするためには、起こりうるトラブルを見据えて書類を作成・管理することが大変重要となってきます。
社労士クレイン
社労士クレイン

今回取り上げました各種書類作成に関しては、当事務所でクリニック様や事業所様に合わせたフォーマット等のご提案もさせていただいております。

その他、従業員・スタッフの採用・雇用にあたっての疑問やお悩みをお持ちの経営者・クリニックの医院長の方へのご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。 

 

当事務所は大阪に拠点をおき、関西圏を中心に中小企業の経営者、クリニックや動物病院の院長様、スタートアップやベンチャーの支援を行っております。

人事・労務に関する各種資料作成や届出に関するご相談以外にも、従業員・スタッフの雇用にあたってのご相談や助成金のご案内など、リーズナブルな価格で対応しております。
お客様の目線になり親身になること、そして経営者と従業員の皆さまがともに成長できることをモットーにアドバイスさせていただいております。

 

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